無限の自由への扉:Kヴィラ

久保田勝文による自然との調和を追求した建築

私たちの心は、他人との関わりの中で生じる微細なプレッシャーによって、知らず知らずのうちに閉じてしまいます。それを解放するためには、無限に自由な力と心をつなげることが必要です。そんな思いから生まれたのが、久保田勝文氏によるKヴィラです。

この建築は、床、壁、屋根が極限まで二次元的な面として洗練され、それぞれが地下、地上、空中に存在し、建築を構成しています。抽象的なスラブが重なり合い、厚みと質量を失って浮遊するように見え、あいまいな区分の空間が生まれます。これにより、平面と立体、内部と外部、さまざまな領域の境界が消え、心が自然と融合します。

この建築は、強化コンクリートで実現されています。敷地面積は517.12㎡、建築面積は105.16㎡、延床面積は95.69㎡です。日本の那須に位置し、2015年から2019年にかけて設計され、2019年から2020年にかけて建設されました。

この建築の特徴は、90Φの細い柱だけで床、壁、屋根のスラブを支え、自然と優しく繋がることです。また、一部のスラブにはステンレスの鏡面が取り付けられ、自然を拡張する試みがなされています。これにより、部屋の仕切りをほぼなくし、3mの長さのキッチンと一体化したダイニングテーブルが縦方向を強調し、統一感を深めています。

この建築は、地震が多い日本で90Φの細い柱で屋根を支えるという挑戦を乗り越え、さらに建設中に新型コロナウイルスが猛威を振るうなど、様々な困難を克服しました。その結果、2022年のA'建築、建物、構造デザイン賞でブロンズを受賞しました。

このKヴィラは、久保田勝文氏自身の思いから生まれた建築であり、自然との調和を追求した結果として生まれた作品です。そのユニークな特性と特徴、そしてその実現に至るまでの過程は、建築とデザインにおける新たな可能性を示しています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: KATSUFUMI KUBOTA
画像クレジット: Katsu Tanaka
プロジェクトチームのメンバー: Katsufumi Kubota, Kazuya Toizaki, Kazu Kubota, Masayuki Kubota,Naoya Yuda
プロジェクト名: K
プロジェクトのクライアント: Kubota Architect Atelier


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